Berliner Festspiele にて現在行われているフェスティバル、 Foreign Affairs


2日間の仕込み終了、本日プレミエの Romeo Castellucci (←映像有り)ロメオ・カステルッチ "The Four Seasons Restaurant " は、今年のアビニョン演劇祭でも上演された作品。


次々に登場する女性たちは、自ら舌をハサミでちょん切っていくという衝撃な幕開け。
・・・そして犬が登場し、女性たちが切り取った舌を食べてしまう・・・

戦後のクラシカルなモードに身を包んだ女性たちの様式のある動きは、大きく好みが分かれるところだが、恐怖・暴力・死を表現した不思議な彼の世界は健在。

イタリア人との仕事は、仕込み図が無いので担当者が話すことを淡々とこなしていくしか無いとか、待ち時間が多いとか、リズムが違うということが沢山あるけれど、彼らならではの舞台づくりは目を見張るものがある。

元々イタリアの劇場は機構としてちゃんとある訳ではないので、舞台機構ごと作品にあわせて作ってしまうことはごく普通なことらしい。仕掛けものの様に、糸やらワイヤーが張り巡らされている状態は、なかなか面白いものだ。

この作品中には、目の錯覚か?と感じられるシーンが多々ある。
例えば、白舞台が黒舞台にゆっくりと変化していくとか、開閉していたプロセニアムカーテンがあるとき前後に移動していくとか。
そんなまさか、と思うような舞台展開ができる機構を、彼らは手作りで仕込んでいく訳なのである。

公演中、照明を操作するのはカステルッチ本人。←もちろん、仕込みはしないけれど、ね。


そして、最後の10分。

前半とは異なり、カステルッチの世界をビジュアル化した、舞台技術のコラージュ。
轟音、閃光、映像、そして”秘密の箱”の織りなす、摩訶不思議なシュールレアリズム。
そのとき、トリックを探そうとする自分と、トリックに魅了され騙されていたいと思う自分が交差する。
ドラマチックなトリスタンとイゾルデ3幕最後の音楽(!)が終了した後、胸が高鳴りお腹いっぱいになっている自分がいた。


追記:アビニョン演劇祭パラストで上演された Inferno の映画上映有り。
10匹もの警察犬が登場し、彼らに噛み付かれるカステルッチで始まる衝撃的な幕開け。あのパラストの壁を軽々と登っていくクライマー。窓々から見える人魂のような不思議な動きをする光。人殺し、交通事故、発砲、などなど。目の離せない1時間半の作品。
さすがに再演は無理だわね。