Ruhrtriennale 2013 の最大プロジェクトは、 Robert Wilson 演出の マッチ売りの少女。
現在その稽古中で、眠る時間を確保するのが精一杯な毎日を送っている。

そんな訳で、こちらのブログはなかなか更新できずにいるこのごろ。
稽古風景などは残念ながら写真でお見せできないのだけれど、彼の現場での ちょっとだけ心和む話題をご披露したい。



indira

 

こちらの美人さんは、劇場犬 インディーラちゃん。

同じ現場で毎日顔を会わす、人気者の同僚といってもいい。 小道具さんのワンちゃんなのだけれど、劇場犬として修行を積んでいて、長い間じーっと待つこと可能な高い技術を身につけている。

こうした劇場犬に限らず、職場犬として出勤しているワンちゃんがドイツには結構いる。
日本では「ペットを職場に連れて行くなんて論外」と言われそうだけれど、ドイツではペットだけでなくて子供にも積極的に親の働く場所を見せたり、職場のみんなに紹介したりしている。(それが迷惑になる場合を除いて)これって案外大事なこと何じゃないかなぁ。

子供に親の働く姿や環境を見せるということは、子供と親の住む世界を縮める役割をするだろうし、子供は親の話を聞くという行為だけでそれを想像するのではなく、実際に目で見て大人の世界に興味を得ることもあるだろう。
まだ職場においては、同僚の子供が 職場のカツカツな雰囲気を和らげ、人間の本来の営みを思い出させてくれるというわけだ。

犬にとっても 職場に行くためにトレーニングをされれば、人間の環境に慣れ 幸せに過ごせるしね。



前置きが長くなってしまったが、
お披露目したかったのは、ちょっとホンワカするこちらのエピソード。


みんながピリピリしている ”マッチ売り”の稽古初日。
スタッフ全員が緊張でいっぱいだった。ボブ(ウィルソンのあだ名)が犬の存在に気づいて「犬がいる。うるさい」といったらどうしようという雰囲気だったのに、インディーラが吠えたのにも関わらず、誰も何もいわずに稽古が無事終了。
その翌日も何回か吠えていたけれど、誰も何もいわずに終了。そのうち、ボブは稽古場に到着するとインディーラをナデナデしていくようになったのだ。

もともと犬好きだったのかもしれないボブだけれど、舞台では誰にでも厳しい要求をするボブが、犬には甘いという一面を見せたことで、なんだか現場一帯の緊張が溶けていった瞬間だった。


立派な”劇場犬” と言ったって生きているんだし、稽古中もたまにワンワンと吠えちゃうインディーラだけれど、そんな訳で、みんな協力して気にしてあげたり、そばにいてあげたり、ボール投げにつきあったりしてあげている。彼女は、自分がすごい円滑油になっていることをわかっているのだろうか(...わかってないよね)。


そんなこんなで、
日本でも ”大人社会は大人だけのもの” と線を引かないで、もっとオープンにしていけば未来が明るくなるのではないかな、と思う気持ちを一層大きくした warabiなのであった。