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ベルリンに存在する隠れ家的な名所、PAN AM LOUNGE


60〜70年代ベルリンに発着する唯一の航空会社だったPAN AMは、パイロットや搭乗員のためにこの宿泊施設を提供していた。建物の最上階2階分に当たる空間は、ほぼオリジナルのまま残っていて、現在はレンタルスペースとなっている。


今年35周年を迎える 2013年Theatertreffen Stueckemarktは、いつものBFS劇場内ではなく、この特別な空間を利用して行われた。


以下、仕込み時の様子である。


Panam
Pan Am Lounge

kaminzimmer
Kaminzimmer


最上階10階からの展望はこのような絶景。
Zoo側の眺めは、動物園とTiergartenが続くのでずっと先まで緑一色。


aussicht
動物園裏口 右側に水族館


10階から9階への非常通路は、このような遊び心でいっぱい。
左は非常通路、右は9階から8階へ下りる階段のデザイン。どこもかしこも、PAN AM一色!


flurtreppe



従業員の制服ももちろん、PAN AMコスチューム。
パイロットやスチュワーデスの制服に身を包んで、バーやフロアの仕事をこなしている。


panamlounge


名物のドーナツももちろん、PAN AMカラーだ。


doller
両替係のスチュワーデスを見つけて 両替する様子


ここで飲み物や食べ物を手に入れるためには、EuroをDollerに両替しなければいけない。
観客のひとりが「ここはドイツではないの?」と聞いていたのには笑ったけれど、これは小旅行的なアミューズメント要素だよね。


さて、Stuekemarktの話題。

この広くて豪華なマンションのあちこちに設置されたCDプレーヤーには、新旧含め選び抜かれた35人の作家によるリーディングを聞くことが出来る。
観客は会場になるや、各々好きな作家や、好きなロケーションに身を沈めてじっくりとテキストを楽しむ。もちろん、コーヒーやワインを片手にというのもあり。


terasse



1時間ほどすると、観客全員が全てのリーディングを回れる様、グループごとにスタート地点を決めるアナウンスが聞こえる。
準備ができると、各部屋やコーナーで決められた俳優たちが、決められたテキストを手にライブのリーディングを同時多発できにスタートしていった。


リーディングは3人の演出家によって、毎日違う演目が催されたので、照明や音響だけではない、家具の移動など(普通は小道具って言うけれど)仕込み替えがもう山ほど・・・ おかげでみんなが筋肉痛(笑)。



下の写真は、Stephan Kimmig:演出による、Rebekka Kricheldorf:作「Der Weg des Krieges」("戦争への道")の様子。

会場が劇場ではないことや、事前に情報を入手できないなど、いろいろと大変なことは合ったけれども、Stephanとの共同作業は建設的で楽しいものだったので、全てが報われるなぁ。



stuekemarkt01
原始人風バージョン


今回のリーディングは、もうほどんどリーディングの枠を超えて小さな演劇作品となっていたくらいの完成度。そういう意味では、ショーケースといっていいだろうと思う。


俳優たちによるリーディングは普通だけれど、今回は珍しく人形によるリーディングもひとつあった。
Christoph Mehler&Philipp Preuss:演出による、Oliver Bukowski「Tuba」がそれ。



stueckemarkt02


激しく動く人形をカメラで追うと、人形が話しているように見えるから不思議。話しているのは人形遣なんだけれど、ね。



konferenszimmer



会議室からテラスを覗く。
日が沈むとこんな雰囲気に・・・

リーディングが終わっても、数時間ゆっくりとCDを聞く時間が用意されていたので、みなさん思い思いに時間を過ごされていたのが印象的。warabi的には、拘束時間は長かったけれど、なかなか味わえない空間での仕事だったので、刺激もたくさんいただいた。

みなさん、お疲れさまでした〜!




ベルリンのドイツ座にて、福島にまつわるイベントが開催されます。


Sperrzone Japan - Ein Jahr nach Fukushima

(ヤノベケンジさんの写真が素敵!)



「ポストドラマ演劇」著者:Hans-Thies Lehmannさんのスピーチで始まり、
東京出身ハノーファー在住(広島生まれ )元ウィーン・ブルク劇場の女優:原サチコさんが語る夕べや、彼女が翻訳をした井上ひさしさんの「LITTLE BOY,BIG TAYFOON」上演などがあります。注意:ハノーファーと広島は姉妹都市
また、F/I(フェスティバル東京)のディレクター:相馬千秋 さん、演出家:高山明さんも参加されるようです。


「生きるということは呼吸することではない。行動することだ。」と誰かが言っていたけれど、原さんは本当の意味で「生きている」といえる人。演劇、劇場は、今何が出来るのか。
このイベントでは、まさにそのような問題提起を観て、聞いて、意見交換が出来るのではないかと思います。


知り合いだけの集まりにならないよう、できるだけ多くの方に参加していただきたいので、至急こちらに告知させていただきます。

3月3日土曜日、18時から(夜中まで)の開演です。
みなさん、是非脚をお運びください。










今年もまた始まっている、Berliner Theatertreffen2011



外から見ると、「毎年同じよう」に見えるかもしれない。

しかし、今年だけは違うのだ!

いつも以上にバタバタしているのは、もう1年以上も続いている劇場の改修が、終わるはずだったのに終わっていないから。
TTの準備が始まっても、実は観客用トイレのどれも使用可能ではなく、去年末から今まで使用できるトイレは劇場内で男女ひとつずつだった。

技術系でいえば、多くが丸ごと入れ替わるほどに変化したのだが、その機能もプログラムが完璧ではなく、いろいろと問題ありなまま使用している状態。
日本だったら受け渡し期日はきっと何よりも優先されるだろうけれど、ここドイツはそんなところもちょっと違う。
「こんなことでいいのか!」とも思うけれど、突貫工事で無理矢理終了するよりはいいのかな。


TT始まって2週間が経とうとしているけれど、もちろんまだ手つかずになっているところも多い。



decke



ホワイエの天井は、まだ化粧板がない状態。
物を吊るのには以外に便利さ!


もちろん照明器具なども最終的ではない。
空間照明、非常時灯も含め、普通の裸電球がいろんな長さのケーブルにぶら〜んとぶら下がっているだけだった。あまりにひどいので、現在は黄色(今年のTT色)のバルーン型シェードがついている。



さて。
このポスターたち。
今年選ばれた、
優秀なドイツ語圏演劇作品10作のポスターであるが・・・



derbiberpelz
Schwerinのポスター


今年はなんと、毎年招聘されている タリア劇場・ハンブルクやブルク劇場・ウィーンなどの有名どころの作品ではなく、ドイツ国内最過疎地 Mecklenburg-Vorpommern 州(warabiたちの田舎のある!)Staatstheater Schwerin やらルール地方の Oberhausenから、初参加の劇場作品が目につく。


異色の作品だなぁと思っていたら、演出家はどちらもHerbert Fritsch

来期から新しい芸術監督がやってくると決まっていることから、審査員たちも肩の荷を降ろして、このような異色を持ってきたとwarabiたちは睨んでいる。


Fritsch(フリッチュと発音)は、元Berliner Volksbuehneの俳優であったことや、俳優業以外のマルチな活躍で知名度がある。この度の2作とも、演出&舞台美術の両方をこなしているマルチぶり。

Fritschワールド満載!

彼の演出的な評価は、warabi的には今回が初めてなので特に書き留めないでおく。
大御所のパイマンは、彼のプレミエを見にきて、罵って帰っていったけれど、あれはあれでどうなのか。コンサバなベルリンの批評はあまり良くなかった様子・・・

Mくん曰く、「裸になって舞台を汚すだけが、Hochkultur ハイソな芸術文化ではない」と。確かに!


Der Biberpilz は1880年頃のベルリン近郊を舞台に社会批判ドラマとして書かれたもの。
それをPlattdeustchといわれる低地ドイツ語 やSaechsisch ザクセン訛りをたんと織り交ぜ、カラフルにコミカルにリズムよく演出していた。(ドイツ人の同僚でも聞き取れないんだから、warabiが聞き取れなくて当然!と、実は非常に気が楽だったという事実。ちなみに、Mくん笑いっぱなし。)


地方の州立劇場だからと馬鹿にしていた訳ではないが(本当か?)、俳優陣の腕が立つこと。
見ていて恥ずかしくない、コミカルな演技って案外難しいのよね。いやぁ、本当にすごい!!
改めて、ドイツ演劇文化の奥深さを知った気がするwarabi。
地元の劇場にはまだ足を運んだことはないが、時間があったら是非行ってみたいなと思わせてくれる腕前なのであった。



nora
Oberhausenのポスター



そして、もうひとつのFristch作品
Theater OberhausenNora oder Ein Puppenhaus

イプセンの「人形の家(ドイツ語のタイトルはNORA)」はあまりにも有名で、どこの劇場もきっとこの作品のレパートリーは持っているのではないか、と思われるほど。

この作品は本日Premiereなのでまだ拝見していないが、
とにかく、なによりも、どこよりもすごいのは、嬉しくて嬉しくて "Theatertreffen用のポスター" を作ってしまったという,
 ”意気込み" である!


作品のタイトルよりも大きく書かれているのは

Berlin, Berlin,
wir fahren nach Berlin!


「ベルリン、ベルリン、
私たちはベルリンに行きます!



その下には、
「私たちは、Berliner Theatertreffen 2011に招待されました!」


そしてやっとタイトル


左端の星の中には
Der Theater-Oscar fuer Oberhausen
「劇場のオスカー賞が オーバーハウゼンに」

さすがに、オスカー賞にはみんなで笑ってしまった!
ここまで喜んでもらえると、迎えるこちらも嬉しいよね。


Oberhausenなんて、Ruhrtriennaleというフェスィバルに毎年仕事に行っていなかったら、街の名前さえも知らなかっただろう。小さな街だからこそ、こうして盛り上がれるんだろうな。

Schwerinにも同じことが言える。
Der Biberpelzのポスターも(TTのポスターではなく)街中あちこちに貼られていることでも、「折角ベルリンに来たんだから」という意気込みを感じられる。こちらは本日千秋楽だが、チケット完売は嬉しいニュース。


こんな風な、いつもとは違うTheatertreffen
あと1週間で終了となる。






このブログでも何度か紹介してきた、warabiたちの演劇作品「アトミック・サバイバー ワーニャとその子供たち AUAWIRLEBEN/スイス・ベルンDVD上映されることになった。



この作品は「原子力エネルギー」に焦点を当てて、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場や、福島県茨城県東海村などの原子力発電所を取材して作ったもの。

作品を作り上げているときは、様々な方向からの風当たりがあって強くて、「このままでは上演できないのではないか」と思ったくらい、苦しんで生んだ作品だ。しかし、政治的な観点から、"上演拒否" という判断が下ったときもあった。


その数年後に「絶対安全!」と言われ、言い続けてきた施設が崩壊してしまった。
現在、世界中が感じている「本当に安全なのだろうか?」「このままこの生活を続けていていいのだろうか?」という問いは、皮肉なことに "この作品が言いたかったこと" なのである。



「アトミックサバイバー ワーニャとその子供たち」

ATOMIC SURVIVORS - ONKEL WANJAS KINDER


上演日:2011年5月7日 17時より

上映場所:Schlachthaus Theater
 


ベネチア・ビエンナーレ ドイツ館 の展示は、

アーティスト、俳優、映画監督として活躍した
Christoph Schlingensief クリストフ・シュリンゲンジーフ
の追悼展となるという。



Mくんは、「ドイツ・パビリオンに "Kirche der Ankst"の舞台装置を組み立てる」という使命のもと、、Venedig ベネチアへの準備中。
それも、仕込みのために使用する工具を車に積んで!の移動である。



準備の様子は、こんな感じ。



vorbereitung



そばに寄ってみると・・・



vorbereitung02



まず、黄緑色に目印を付けて・・・


vorbereitung03




乾かしてから、手に持てる大きさの道具箱に詰め込む。
これ、大事らしい!


ベネチアは運河が道のように巡っているので、荷物は車から手でゴンドラに乗せる可能性あり。通常はローラーのついた大きな道具箱でOKなのだが、今回はそうはいかないのだ。


なるほどね!


小さい工具だけではなく、大きな加工道具などもある。ナンバリングしたら、なんと17個もの荷物となった。
これに、ベルリンでピックアップする荷物も合わせると結構すごい量になるよね。。。

とりあえず、
17個の荷物をそれぞれリスト化してっと。

・・・ こんな風に、いろいろとお手伝いして差し上げるwarabi。実は訳あり・・・



まだ、ベネチアを観光したことのない warabi。
ベネチアと言えば、

運河を行き交うゴンドラとか、
おいしいジェラートとか、
ベネチアンガラスとか・・・

ああ、なんか夢のよう〜。


ということで、
同行させていただくことにいたしましたっ!そう言う訳・・・

いや、楽しみですわ〜


それでは、みなさん
Buona Notte ブォナ ノッテ おやすみなさい~








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