カテゴリ: アート Kunst

ドイツ雑誌のサイト Spiegel online にあった興味深い記事。


未だにある(!)、東西ドイツを隔てていた壁 Berliner Mauer


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 夜のベルリン衛星写真 (c) NASA/Chris Hadfield


1961年から1989年まで西ベルリンをグルリと囲んでいたベルリンの壁。
今ではほぼ取り壊され、イーストサイドギャラリーなどの極一部しか原型をとどめていないはず。

しかし、この写真をみるとわかるように、東と西をはっきりと街灯の色で境界線を引くことが出来る。この境界線がベルリンの壁に沿っているのだが、それはなぜか。


答えは、ガス灯とナトリウム灯の色温度の差。
驚くことに、ドイツの首都ベルリン周辺には、今でも4万2千5百台ものガス灯が現役(ベルリン西側の玄関Zoologisher Garten駅近くの歩道にはガス灯美術館有り)
西側はこのガス灯とHQIランプや蛍光灯を利用した街灯が普及していて、色温度的に高い(白っぽい)。対して、18万2千台のナトリウム灯が立ち並ぶのは東側。

こうもくっきりと違いがわかるのは、いいのか悪いのか(良くはないよね・・・)、あの冷戦時代の名残なわけだけれど、壁が崩れて20年経ってもあちこち工事中なベルリンを見ると、そう長くは持たない夜の風情なのかもしれない。







2013年の今、テアタートレッフェンは50歳 を迎える。


50年、半世紀という節目だから、準備から気合いが入るのも当然。

どんな気合いなのかというと・・・
例えば劇場前の気合いは、こう。


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1週間前の劇場前は、こんな状態だった。

巨大なOSBパネルの舞台が誕生中。黄色い素材は、レンタルの木製H鋼。すごい迫力・・・



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そして、本日はこのように舞台面は終了。木の周りには円形ベンチがぐるりと。

あとはケコミをつけて、家具を置いたら完成らしいけれど、「まだまだ仕事は山ほどある」との、Mくんのコメントでした〜。



「Sushi in Suhl」「ズールの寿司」/ドイツ映画 を見た。

DDR 旧東ドイツに唯一存在した、日本料理店で起こった実話を基にした映画である。






70年代の東ドイツ。

チューリンゲン州ズールは、当時武器工場で有名だった小さな街。そこにある、HO という国営商業団体経営のWaffenschmied ヴァッフェンシュミード(直訳で武器製造)というすごい名前のドイツ料理レストランが舞台である。

アンシュッツ氏は、料理長であるが、料理アーチストとして奮闘している毎日。23年目の記念日に研究を重ねた黄金虫のスープを出して大目玉をくらう。

その後、彼はある日本人の大学教授と出会うことによって、探究心が燃え上がり日本料理創作へとのめり込んでいく・・・

人気の原因は、ただ珍しいからというだけでなく、最高のもてなしにもあったであろう。彼の探求は日本料理だけでは飽き足らず、混浴銭湯に浸かってから、食 事をとるという日本人の生活習慣まで取り入れると言う熱の入れよう。レストランに入りたいという長蛇の列なんかには関心を示さない。定員12名を店内に入 れた後、「2時間後に次の12人をいれる」といって、店のドアを閉めるのだった・・・

最終的に、年間15トンの食材を日本から輸入し、従業員数52人を雇用するまでに成長。壁が開くまでの間に、2百万人ものゲストをもてなしたという。


東ヨーロッパ以外の国とは国交を開いていなかった東ドイツで、まさに奇跡としか言いようのないこの店の存続と発展に、warabiは見ている間も驚きを隠せなかった。実際シュタージなどに目を付けられていただろうけれど、口コミであまりに有名になりすぎて 黙殺できなかったというところだろうか。


話自体は、作り話かと思うほど偶然が重なったような流れだが、実話だと言うことで重みが加わっている。しかし重すぎずに、コメディーのような軽いタッチに好感が持てる。

東ドイツらしい生活風景(権力のある相手に合わせて意見がコロコロと変わるところや物々交換シーンなど)も、見所のひとつ。例えば、バナナやオレンジなど貴重な輸入品を手に入れるために何時間も並んで待つということは、日常茶飯事だった東ドイツ。そんな背景を頭に入れておくと、よりこの映画を楽しめるだろう。




warabiの東ドイツ映画コレクションに、またいい作品が加わりました♡
お勧めです!!


Dungeon ダンジョン(地下牢の意)
という、日本式にいうと「お化け屋敷」がベルリンにまもなくオープンする。

Facebookのページは、こちら


資本はMerlinという、Sea LifeやLegolandなど世界各地で様々なアミューズメントパークを手がけている大手。


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場所は、
ベルリン・ミッテの Alex アレキサンダー広場側、Hackeshermarkt ハケシャーマルクト駅の裏。




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裏口はalte synagogeの空き地にある


オープン前に館内はお見せできないので、youtubeでどうぞ ↓↓↓

こちらはブランデンブルガー門からアレクサンダー広場まで、宣伝パフォーマンスをした映像。
太陽の下で堂々と地下牢風な役者が演じているのは、それだけで結構おかしいものなのね。







700年に渡るベルリンの暗い歴史を60分の旅で体験できる、という売り込み。9人の役者による9つのショー、川下り付き。
だからお化け屋敷とは、ちょっと違う試行なのよね。ネタバレになるけれど、ペスト部屋とか、嘔と通りとか、拷問部屋とか、トーキングヘッドのいる修道院とか、中世のあまり衛生状態が良くなかったころの暗〜い雰囲気がベース。


そんな仕事場の雰囲気は、普通ではなかった。

ある部屋では嵐の音がゴーッとしていたり、また「キャ〜ッ」という悲鳴が続いたり、低いトーンで「Ihr seid alle Schuldig!おまえたちみんな有罪だ!」という台詞だったり、それぞれ数時間ぶっ続けに聞きながらの作業。職場の雰囲気は和気あいあいだったので、みんなで怖い台詞を言い合ったり、一緒に歌ったりしながら、それはそれで楽しいものだったけれど。


ある時。
ある人が「オレは今、"Wurstanmaler ソーセージに化粧する人" だから。」と。

それを機に周囲を見てみると、そこら辺に変な職業の人がいる訳。普通のマネキンを切って ” Kotzenpuppenmacher 嘔と人形を作る人" とか、"Tomatenverganmmeler トマトを腐らせる人" とかね。こういう面白さは、他ではなかなかないでしょ?
稽古に邪魔にならないようにしていたから、役者の様子はわからないけれど、"ペスト患者" 役とかいるのかなぁ・・・


役者に関しての情報。
例えば、9人の役者はドイツ語英語の台詞を使い分けて演じる。

お客はドイツ語か英語かを最初に選んで分かれて行動するので、次のグループがどちらかはわからない。そこで、warabiたちがグリーンとレッドのランプを設置した。役者はこれを見て、グリーンのランプが点灯すればドイツ語、レッドが点灯すれば英語の台詞で演技をしていく。

Ausstattung 美術&衣装は、気合いが入っている。
照明だって、今の時代は照明器具もストロボもみんなLEDだから、オープンして数ヶ月後に色が飛んで安っぽく悲しい状態になるなんて言うことはない。器具が小さいのはもちろんだけど、明るくなったし、ディマーも良くなっていて、本当に素晴らしい。

当たり前なんだけれど、こういうアミューズメント系の専用の美術家、演出家も存在するのよね。
彼らの仕事ぶりもなかなか見応え有り!


Londonオープンでは、コミュニケーション不足によりテクニカルがうまく回らなくて、工期延期してやっとこさオープンしたらしいけれど、ドイツチームはとてもいい雰囲気。イギリス人アーチストもご機嫌な毎日。


ここは、お客で是非行ってみたいところ!!

様々なセンサを使用したエフェクトはとっても近代的。
きゃぁきゃぁいいながら、怖がれる(楽しめる?)こと請け合いです〜!
みなさんも是非、楽しく悲鳴をあげてみてください ♪





Dock 11で行われていた、A+B TANZBAU(Mercedes del Rosario Appugliese + Florian Bilbao) „Die Ausnahme, Episode II“ 観に行った。

予想を覆すような構成がそこここに使われていて、脳みそ活性状態が一夜明けた今も続く。この作品には、warabiを久しぶりに満足させてもらったので、是非一言書いておきたい。



A+B TANZBAUは、Mercedes AとFlorian Bの二人が軸となって2012年創立したばかり。Florianは、去年のRuhrTriennnaleにて、H. Gobbels が演出した "Europaras 1&2" にて、コレオグラフを担当していたのだが、彼が踊る作品を今まで見たことはなかった。


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会場のある中庭へ向かう
中央にDOCK11の看板


会場はDock 11、90年代初めにできたダンスを中心にプログラムがされている倉庫風の会場。持ち主が変わっても、Mくんたちが当時取り付けたという看板は、今も引き続き使われている。


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会場の入り口/左 と東ドイツ時代の蛍光灯/右


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会場に入ると、舞台上手に山ほど積み上げられたクッションの上に、ミラーボール顔負けの衣装を身に着けた日本人女性(音楽担当: Yoko Matsuyama) が座っている。

客電が落ちると、その彼女がクッションの上で寝返りを打つように体位を変えていくたびに、クッションはずれ落ちそれに埋もれていく。

次第にクッションをばらまいていく彼女。それに目を奪われていると、一番下にあったマットの下から手足がにょきっと出てきて、「えっ、一人じゃないよね、その幅は?」と思った瞬間に、マットがクルッと、本当に機械仕掛けのようにクルッと回って瞬きする暇もなく、その瞬間にマットに寝そべっている二人のシーンとなっていた。

こんな転換の仕方、初めて見た。すごい。
しかもどうやったら、体の筋肉だけでくるっとマットと二人の人間がひっくり返れる訳???

その後も、マットの上では "寝返りを打ってエリアを確保”したり、 “眠いのにベットからずらされていく流れに抵抗し身を翻し”たり、”真ん中に陣取る相方の上に乗っていい位置を得る” など、狭いベットの中でクルクル自在に、そして思いもよらない方向に体を引き延ばしたりとあまりの展開の早さと予測のつかない動きで、観客は彼らを見ているのにどこか見逃している気分さえしてくる始末。


なんで、横たわったままの姿勢で、隣に寝ている人を飛び超えて、反対側に移れるんだろう???
Mercedes メルセデスさんの肉体は、きっと筋肉質だけで出来ていて、しかも骨も筋肉質なんじゃないだろうか???



・・・なんて、考えている暇は一切ない。思考可能範囲を超えている振り付け。


背中同士をくっつけてエプロンでぐるぐる巻きにした状態で、Apfelkuchen アップルクーヘンをつくる振り付けは、喝采もの!
「よくもまぁ、こんなふうに踊りながらクーヘンが作れるものだねぇ」と思っていると、次の瞬間は笑わされてしまう。
クーヘンをオーブンにいれて、次のシーンへ移行。

どのシーンも日常生活をしている二人の関係を描いたものだけれど、愛があって一緒にいながら、小さな積み重ねでどこかがぎくしゃくしてしまう、という展開を幾度も設定を変えて踊ってみせるという試行。
最後のシーンは3回もやり直すのだか、アップルクーヘンの焼けたいい匂いが会場を埋め尽くした頃、タンゴ音楽がかかり、二人はタンゴを踊ってめでたしめでたし。

音楽担当のYukoさんが、舞台を横切りオーブンのスイッチを0に回し、

「チ~ンッ 」と鳴ったところで、暗転。


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youtubeにて、A+B TANZBAU 別作品のトレーラーを見つけたので、こちらに紹介しよう。















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