カテゴリ:アート Kunst > ダンス Tanz

地元にI君というスーパー小学生がいる。といっても、今年の春から中学生になっちゃったから、スーパー中学生か。

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本日の振り付けWS発表会で、あるダンサーと組んで自ら作った楽器演奏(写真中央右手)を披露。「サーキット」と名付けられた作品は、カラフルな配線が丸見えの理科の実験ぽいものだが、ノイジーな音も出す楽器であり(ちょっとフォーミュラカーを意識しているかのような音)、音を拾うとプロペラが回りだすライト(足元)も付属でついていて、いちいちびっくり。
ダンサーは、トーストを焼き、お茶をいれ、目玉焼きを焼く動きをダンスにしている。料理ができた時、ダンサーと演奏家はちゃぶ台に膝を突き合わせ、「いただきます!」と食事を始める。。。という終わり方。

5感のうちの「視覚・聴覚・臭覚」を観客が体験し、「触覚・味覚」はパフォーマーが体験する。踊りながら卵をフライパンに割っていれたり、頭の上に乗せた熱々トーストをお皿に投げ入れたりするので、子供たちが大受け。

こんな楽しいパフォーマンスが館内で繰り広げられた。「雨の日の小さな幸せ」的なパフォーマンスであった。


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Je suis sang photo:(c)WONGE BERGMANN

先週の疲れがまだ残っている今日。
warabiはちょっとした燃え尽き症候群とでもいえるような状態。体がこちこちになったところ、友人の代わりに整体へ行くことになった。そこでも「働き過ぎです。休養を取ってください。」といわれる。休みを使ってもやりたい仕事だったから。。。
というわけで、この日記の更新もままならなかったのである。

ちょっと古い話しになるけれど、Jan Fabre「わたしは血」(写真)のことを書いておこうと思う。
warabiは、ヤン・ファーブルの作品は「青の時間」のビデオと、去年来日した『主役の男が女である時』の2つしか鑑賞したことはない。しかも、舞台作品としては前回のオリーブオイルにまみれて踊るソロ作品のみだけだったので、「わたしは血」を心待ちにしていた。
ヤン・ファーブル個展を見ても分かるとおり、彼は異色のアーチスト。恐らくとても繊細で、想像力に富み、そしてかなり変わった個性の持ち主だと思われる。

今回のテーマは「血」、それは肉体のパーツである。
「血」は、宗教的なイメージも、また戦争という政治的・社会的なイメージ、また身近な死をも思い起こさせる。作品中にはそういった様々なシーンが展開される。

甲冑を着て剣を持った中世を思わせる騎士達のユニゾンから始まり、剣を振り回すところで、周囲の空気が一変する。剣により傷ついた肉体のひとつの表現としてキリストを思わせたり、また宗教的な儀式で使われるワインとバンを粗末に扱うシーンと続く。
そして処女の「血」ということなのか、写真のように無垢な花嫁達が現れ、ドレスの下の「血」を見て叫びまくる。やがて、暴力による「血」などで、舞台上は狂気の空間となっていく。

見終わっての感想は「こんななんでもありのハチャメチャな舞台を久しぶりに見た。」ということだった。
通訳をしていたSさんに短く挨拶をしに、Yと楽屋口に向かう。Sさんにも感想を言うと「そうでしょ。そうなのよ!」と相づちを打っていた。海外招聘ものの公演には大金を出す代わりに、スタイルのある、完成度の高い作品を求めすぎていないか。ジャンクもあり、B級もあり、変化球もあっていいのではないだろうか。

久しぶりに説得力のある「変化球」にやられた、warabiなのであった。
マルチな才能のファーブルに脱帽!!

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20歳?70歳代までのダンサーが在籍しているという、Liz Lerman dance exchangeによるダンスWS発表のはなし。

このカンパニーは、日常の動作をダンスにしてしまうということで、評価を受けているという。
10日間のWSのあと、作った作品をお客さんの前で発表して終わるというプログラム。
対象はダンス未経験者も含む、50歳以上と以下の2グループに分かれて、毎日お稽古。参加者は、「山口らしさ」をダンスにすることが出来るのか楽しみだ。

雑用でWSについていたアルバイトの子達も、ウォーミング・アップだけ参加したら、楽しくなってWSメンバーになったというほど、和やかな雰囲気で始まる。参加者は(とくに50歳以上のね)、毎日がとても楽しいようで、その模様はケータリングを見ると気合いの度合いが伺える。差し入れにおはぎや、ケーキ等、いつも溢れんばかりだ。

テクニカル・スタッフは最後の2日間お付き合いし、映像・音響・照明を付け足していく。各シーンが出来上がるにつれて、カンパニーメンバーも、参加者も盛り上がりをみせる。

アーチスティック・ディレクターのPeterは、社交的でとても繊細な感覚の持ち主。照明デザインをしてあげると、とても喜んで何倍も感謝してくる。warabiの偏見だけど、こういうアメリカ人もいるんだな?と思うくらい、腰の低い人だった。
みんながHappyになってくれるなら、そしてwarabiたちもhappyなら最高じゃないの。

warabi個人的には(デザイナーとして)、こういういろいろと提案してあげるという参加の仕方は願ったり叶ったりだけど、普通はお金の問題とかでこう簡単にはいかないという。warabiはむしろ、舞台芸術を広めるためのWSなら尚更、スペシャリストが参加する方が自然だと思うのだが・・・こういう雰囲気の職場で働けることに感謝するのだった。

↑写真は本番前の準備をするWSスタッフのたまちゃん。
「ゴルジ工房」ドイツ公演以来14年ぶりの再会にお互いびっくり!!

2006年フランス/アヴィニョン・フェスティバルのオープニングを飾った、ジョセフ・ナジ演出・振付による日仏国際共同制作作品 『遊*ASOBU』。

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マルチなアーチストとして名前は知っていたけれど、彼の作品はまだ見たことがなかった。大駱駝艦とのコラボレーションは今までもやっているらしいが、この作品は事前にWSを行い、その中の日本人ダンサーも出演している。

事前の情報では、空間構成のすばらしさ、映像美、そして本人がかっこいい(笑!)。。。

オケにいる音楽家と会わせて20人の構成は、さすがに迫力があったが、細部に関しては詰め切れていない感があった。黒田育世と斉藤美音子、特に斉藤さんの肢体と奇妙な動きが非常にマッチしていて、目を引いた。彼女はもう立派なソリストで(もともと素晴らしかったけど)、こうやってほかのカンパニーのゲストとしても立派にやっていることを目にすると、感慨深いものがあった。

せたがやパブリック・シアターにて2月3日までの公演。興味のある方は是非。
映像は吸い込まれる美しさです。

秋吉台国際芸術村DANCE×MUSIC! vol.2(JCDN主宰)を見に行く。

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この企画は振付家と音楽家をペアにして、新作を滞在製作させるという試み。今回の組み合わせは、森下真樹×THIS=MISA×SAIKOUの"スピー"という作品、ほうほう堂×にかスープ&さやソースの"キキ マニマニ ミ ミミ"の2作品。

ひとつめは宮嶋哉行と下村美佐のバイオリンの響きに夢心地へと誘われる導入から、シンバルを頭に載せそれをたたくというお笑いパフォーマンスへ続くような、森下真樹全開ダンス。
ふたつめは、ふんわりとした雰囲気を持つデュオ2組(計4人)が 即興アカペラとダンスを繰り広げるもの。

音楽ホールという空間なので、宮嶋哉行のバイオリンや二階堂和美の声の響きが体中に染み渡り、何とも言えぬ癒し効果をもたらしてくれる。久しぶりに心が揺さぶられた日曜日だった。

みなさん、おつかれさま。京都公演の成功をお祈りしています!!

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