カテゴリ:アート Kunst > 照明 Licht

Mくんの知人のひとりに照明デザイナーで、講師でもある人物がいる。
その人は毎年、その年の教え子を連れて1日劇場体験をさせるのだという。

劇場でその人が、たくさんの重い機材(10kg以上の重さ)を目の前にデザイナーとなる。

「君、これをあのブリッジに持っていって吊ってください」
「君は、これ10灯をバトンに吊ってください!」
「君は機材庫にいって、これと同じ機材を30灯持ってきてください」

「悪いんだけど、あそこに吊った機材をこっちに吊り変えてください」
「あの10灯はキャンセル、急いで撤去して。はやく!」
「試しにあの角度から見てみたいんだけど、1台吊ってくれる?」
「みんな、さっさと動く!時間がないよ」

というようなことを、現場さながら1日中行う。
先生も生徒ももちろん、くたくた。。。

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一番下にあるのが、warabiの愛用tool


締めに先生はこう語る・・・

最後に
みなさんもこれでわかったでしょう?

照明デザイナーになるには、事前のプランニングがどれだけ大切なことか。
プランが悪ければ、現場でたびたび変更しなければいけない。
それにはみんなが今日体験したように、2度3度と無駄な作業がでてくる。

照明技術の人たちもみんな人間です。
無駄に作業させれば、疲れるし、壊れる。
それを知らなければいけない。
もし、
事前にプランニングが出来ないようなら、あなたはその時点で照明デザイナーにはなれない!


な?んと目から鱗な先生なのでしょう。
これに当てはまる素晴らしい照明デザイナーだけだったら、どんなに素敵か。
人件費も残業代も減るし、みんなの機嫌を損ねることがない。。。

でも実際はそうともいかず。

Ruhrtriennaleの場合、一晩中かかって仕込んだ照明器材を翌日すべて吊り変えたり、また元の位置に戻したり、ということが毎日のようにある。
その労力と費用を考えたらものすごいことになるだけでなく(考えなくてもいいからこうなるのか(!?)、照明技術家たちのモチベーションが低下する原因となる。
理由がわかれば、納得できるのだが常にそういう訳でもないのが困るところ。

この先生をぜひ現場に連れ来てきたいと密かに思っている、warabiなのであった。。。


去年のクリスマス市で買った皮製のランプシェード。

1年棚のうえに飾っておいたものをやっと細工する気になったwarabi。
ソケットをつけて、壁に掛けられるように加工する。

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赤の染まったシェードは、裸電球と相まって暖色のソファとよく合うあったかい光を放つ。
夕方煖炉に火を入れてこの壁のランプをつければ、怠け者になる環境がすぐできあがる。

これからさらに日が短くなるからね。
ドイツ幸せに生活するためには、冬の時間をいかに快適に楽しく暮らすかという工夫が結構決め手となる。
去年は油断していたので、今年はなにか考えなければ。。。

部屋でできる楽しい暇つぶし、知っている人は教えてください木 !!

昔パンク・グループで有名となった、SCHORSCH KAMERUN ショーシュ・カメルーンのWestwaertsの稽古が大詰め。すでにエキストラ150人全体の稽古が何度か行われ、プロダクション・チームが、細かいチェックを始めた。

本日消防署の最終チェック、すでに消防署査察が入っているが今日が最終チェック。
このためにwarabiはあるアクティングエリアのデコ照明を5回も仕込み替えをしている。

日曜日は音楽家の音響チェック&稽古。
ホームページを見て、知っている日本人音楽家の名前を発見!!
以前山口で何度かご一緒している方だ。
その頃研修生だった子がこの作品を見に来ると言っているし、小さな同窓会ができるかもしれない。

そう、世界は変わってきている。思っているよりもず?っと狭いのだ。


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写真を1枚。
たくさんある演技エリアの中でガーデンと呼ばれている部屋の写真。
植物用の蛍光灯と低圧ナトリウム灯のコラボレーション。ここだけは普通の色ではない光(もちろん、ほかもいろいろあるけれど・・・)

どんなことになるのか、楽しみである。

11月22日木曜日。
ベルリンでの初仕事となった。
9時から18時までのDienstで、内容はバレット・プレルジョカージュの「四季」の仕込み。
2年前にはゲストとして働いたことはあるけど、劇場側としてゲストを迎える立場で働くのは初めて。

何人かの知り合いに久しぶりの挨拶をし、早速取りかかる。
日本とはペースが違うけど(休憩をちゃんと取るのね)、するべきことは変わらない。初日にしては合格点かな??
ただ、はやく何がどこにあるのか、わかるようにならなければと思う。

今月は22日を除いてあと4日の出勤。来月は20日まで9日の出勤。いいペースだ。
ただ、早番と遅番で結構時差ができる。朝からの場合はいいけれど、撤去時などは夜中の2時までの予定。明日も24時までのDienst。このペースに慣れないと。。。

この仕事に巡り会えたのは、必然か偶然か。
一人の慣れたできる照明家がいなくなったので、急遽使える照明家が必要となった劇場側の都合も大きい。
現在 Haus der Berliner Festspieleでは、フランス人の照明家も2人いる。彼らはドイツ語はうまく話せないけど、今回のフランスからのカンパニーの作業では大活躍。日本のカンパニーも来るらしいから(まだチェックしてないけど)、warabiも少しは役に立つかも。

いわゆるHigh Speed Videocameraのこと。

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最近TV番組などで、普段目視できないほどのスピードがこのカメラによって、瞬間をスローモーションにして目にすることが多くなった。

高速度カメラは、普通のカメラに比べて撮影速度が速い。
1秒間に100枚以上の撮影ができるカメラを総称していうらしい。しかも、ビデオとなると容量や処理の問題でなかなか大変な技術だということがわかる。
世界最高クラスで100万コマ/秒の撮影速度で、しかももちろん解像度も安定するところまできているらしい。

う?ん、すごいのだ!




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高速度ビデオカメラは、一瞬でピントをとらえなければいけないため、通常よりも格段に光量を必要とする。劇場の器材で1点に90kwくらいの光を当てているので、「カメラの目を通した映像をモニターに映してみる絵」と「実際のそれ」とは全く違う。

クォリティーを落とさないようにして、1秒程度の動きを40倍くらい引き延ばして再生してみる。すると、ダンサーの身体が1秒間にどれだけの部位を使って運動をし、またどれだけ美しいフォルムで動いているかが見て取れる。素晴らし?ぃ。

が・・・ダンサーはとても大変である。
この光に満ちた空間で運動をすることで、目が開かないほど眩しいだけでなく、溶けちゃうほど熱を感じるし、発汗し体力も消耗する。それでも集中が途切れないアーチストを見て、warabiもちゃんとしなきゃと思う。感嘆である。

背景の白と黒
衣装の白と黒
レンズが広角か狭角か
寄りか引きか
により、白い背景を飛ばしたり、黒い背景に黒い衣装を際だたせたいが、顔はハレーションのない程度とか・・・光量やフォーカスが変わってくる。毎日少しずつ仕込を追加して、ついに約80台。監視モニターでスタジオの中を見ると、輝度の高いダンサーだけが発光しているようにみえる。

人間ではない、別の生き物みたい・・・

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