カテゴリ:自然環境_Natur > 木_Baum


FBのほうにはこの作業について書いたのだが、こちらへの書き込みは作業が済んでからと思っていたので、随分と時間が空いてしまった。


その作業とは、、、

プロジェクト名「切り株棚を作ろう!!」

もちろん、わざわざプロジェクト名をつけなくともよい訳だけど。。。


テーマはもちろん、Teddybaer Total 2013 。去年のこの時期、古いトランクを再利用して棚を作ったのをみなさん覚えているだろうか。そのブースの右側を埋めるための「何か」をずっと考えていたのだが、あるときこの切り株棚を思いついたのだった。


(去年の記事は TeddybaerTotal 準備その2
)


まずは切り株探し。

森へいったり 庭の木を見たりと、長いことかけたのに、なかなか見つからず。結局、今まで密かにコレクションをしておいた、切り株を使用することに。こんなこともあろうかと、面白い木の部位を見つけては隠しておいたのだ(隠しておかないと暖炉の薪にされかねない!!)。こんなこともあろうかと、こっそり隠しておいて 大正解だわ〜!!

regal00



これがその切り株。木の種類は、ドイツでは Holunder ホルンダーといわれる、花や実は好んでジュースやジャムにされる ニワトコを使用。3年くらい寝かせて(放っておいた)ので、乾燥が進んで結構亀裂が入っているが、それも合わせていい感じの枝ぶりである。

うまく仕上げるポイントとしては、
この時点で、なんとなく作りたい絵を想像しておくことが大事!

裏話だけれど、、、
近くで見ると、クロちゃんたちが美味しい木の皮を食べ尽くしたのだろうと容易に想像ができる歯形付き。いろんな意味で無二の素材なのさ ♪



regal01


話を進めよう。
棚の板になる部分は、唐松を選択。もちろん、素材は生のもの(乾燥済み)。まず、鉋機に両面かけて表面を滑らかにし、使いたい部分を見分ける。

生の素材は、幅が違ったり、木目が均等でなかったり(逆にそれが良かったり)するので、どの部分を使用するのかで随分と印象が変わってくるからだ。


regal03


今回は直線はひとつもない、自然な曲線が連なった棚が目標。
なので、直線や平行に頼ることはせず、糸鋸で気分よくイメージに沿ってカットしていった。
といっても、糸鋸でカーブを切るのは結構大変。初心者には向かないのでご注意!!


regal05



板を切り終えたら、そこからは少々忍耐の時間。

写真のように、表面の凸凹に合わせて、板目を調整していく。もちろん、ここで適当に合わせてもいいのだが、warabiという職人はここにこだわっていた。


regal08


それぞれの板目の調整がついたら、今度は差し込みの調整。
これは、固定させるためにも、見た目を美しくするためにも大事な作業のひとつ。

日本製のノコギリで(ここ重要!)
、印を付けた板目の当たる位置に切り目を入れ、金槌とノミで気をつけながら均等に差し込み部分を完成させていく。

前の作業で、例えば直線に合わせを入れた場合、ここでは直線に切り目を入れていけばいいなのだが、先にも書いたようにここはこだわりなので。


regal06


木目に合わせた差し込み部分の一部。
こちらは、枝を穴に差し込むので、このように板上面から下面にかけて、斜めに切り目を入れた。ここは、どの曲線も どの斜面も一律にはいかないので、時間がかかる”忍耐”、または”修行の時間”といえる。


regal09



何度も試し合わせをして出来上がったのが、こちら。

はぁ、やっとである・・・


regal07


棚のパーツが揃ったら、あとは細かい修正。
木材パテで、乾燥ヒビや虫食いの後などを埋めていく。羊毛という繊維をここの飾るので、なるべく表面を滑らかにしようという心配りである。


regal10


ヤスリをかけて仕上げたら、最後にHolzoel (直訳だと木材オイル)を塗っていく。ラックだとツルツルになるけれど、安っぽく見えるし素材も殺してしまうので、割と早く乾燥する自然な仕上がりになるこのオイルを使用。

塗り始めると、素材の色の深みが出てくるのが見てとれる。


regal11


しばらくして、オイルを吸い込んだ状態がこちら。
ヌメッとして、いい感じでしょう? 唐松独特のピンク色もきれいにでているし ♪♫


regal12



オイル一度塗り後がこちら。
乾燥後、ヤスリをかけてもう一度オイルを塗るのだが、それはもう少し先。



「木に雲がかかっている」ようなイメージ。

作業中、同僚が「Katzenstufen 猫用の階段?」と聞いたけれど、違います!猫は乗れませんのであしからず。
羊毛動物専用です!!




前回の続き。

午後の作業から。


4)準備の終わった3本の柱をそれぞれの位置に立て、床に敷いた横材を das Joch くびき (これも専門用語よね!)で上に持ち上げ、なんとなく(ここ大事!)ホゾを組み合わせる。

柱を立てる段階では上下に多少の余裕があるが、くびきのネジを閉めていくことで横材が上に上がっていき、最終的にしっかりと縦材と組合わさると言う手段。この段階では、まだしっかりと組まず、ホゾを合わせる程度。

ちなみに、このくびきは、横材の下をレンガで補強した後、取り外される一時的なものである。


wand06


5)立てた縦材に、横材を入れていく。
 
このとき、ホゾ同士を組み合わせの位置に持って行くために、一度縦材をずらし横材を入れやすい様にスペースをつくる。
右側にはドア入る予定なので、横材は上部にあるのね。


wand07


複数のホゾを合わせながら、位置を決めていく。
重い柱なので、摩擦力は相当なもの。どうするのかと思えば、テコの原理と、このような木材の切れ端を使って、このように余裕の作業。ちなみに、横にずらしたりするために多少大きめにホゾを入れておくのも大事なポイント。

写真のホゾは計算間違いで(!)、ちと大きめに空けてしまったらしいのだけれど。。。
それを聞かなかったら、感心して終わっていたのになー。



wand08



6)ホゾの固定と装飾のために、このような差しを作る。


バンバンと叩き付けながら仕上げていくものすごい手際の良さに見とれるも、叩き付ける音のほうにちょっと怖さを感じてしまったwarabi。

「ノミって、ああやって使ったりするのね・・・」
ノミは木の表面に当てて上から木槌で叩くというような、型通りの使い方しか知らなくて、ちょっと乱暴に感じてしまったの よ。


wand09


そんなこんなで、あっというまに出来上がっていくデコスティック。


7)ホゾが組まれている全ての部分に穴を空け、デコスティックを木槌で叩きながら差し込んでいく。




wand10



組み上がった柱たちがこちら ↓


重労働だから大変と思っていたのに、実質4時間ちょっとという超特急なお手並み。
さすがマイスター!お見それいたしました!!


wand11
「柱3本なんて朝飯前」ってな感じ!


ここから先は、後日Mくんが時間を見つけて壁にしていきます。

それはまた別のレポートで〜〜〜


warabiたちの田舎の家は、
Fachwerkhausといわれる "組み木の家
"


いわゆる、伝統的日本家屋のドイツ版(ドイツの伝統的... と言えば簡単なのだが)



以前も書いたけれど、この日本伝統の木造建築とドイツ版組み木の家は、一見違うようで、実は似ている点が多いのに驚く。

どちらも釘を使わない大工技術はもちろんのこと、組み木の仕方や道具までそっくり。骨組みだけではなく、壁を埋める天然断熱材も、レンガや石材を覗けば、漆喰や麻の繊維などを同様に使用することも忘れてはならない。

昨年末は、バスルームの大きな壁を打ち抜いて、骨組みから新規で入れ替えたが、そのときは立ち会えなかったので、組み木の記録はない。

今回はMくんも加わっての作業(特価バージョン)
漆喰作業は今後だけれど、組み木方法の忘却防止のため書き留めておきたい。


1)まず、柱を立てるために、天井&床材を確保する(今回は天井材をそのまま使うので、写真は床材分)
 大型丸ノコで4面を18cm×18cmに切り出し、表面に電気鉋をかけ、ならしておく。

 

ちなみに。
この18cm×18cmは、昔の大工さんらが経験を元に出した数値。
この太さだと、材が朽ちても自重や積雪などで折れることはまずないという安全値らしい。

そんな小話にちょっと感動 ♪


wand01
巨大丸ノコで18cmの深さを切り分ける!



お友達の Zimmermann (大工の意)が持参した、3種類の丸ノコの数と大きさにビックリ↓


wand02
パワフル丸ノコ


2)天井&床材に柱の位置を決め、ホゾ穴を入れていく。



みなさんも、組み木するための凸凹の穴をご存知だろう。それを大工用語で、ホゾ穴・ホゾ組みというらしい。



wand03
優秀な日本製 RYOBIの角ノミ器




写真の器械は、"角ノミ"という。
文字通り、四角いノミのこと。


昔は職人さんが、1本ノミを用いてこのホゾ穴を彫っていたんだろうが、それが4角のノミ刃になり、プレス器になり、今ではこのようなチェーンソー型ホゾ穴掘り器(ここまでくるともはやノミではない)まであるのだ。

そういえば、100万円で家が建つという本を書いた人が、材料と角ノミさえあれば3間×2間の家が、女性でも1ヶ月で立てることが出来るとあった。角ノミは、大工作業にとって、命のように大事な器械なのだ。



wand04



床材に角ノミで穴をあけた後の図。


3)柱を3本用意する。
 柱は上下をホゾの凸型に切り出し、梁の部分には凹型に穴を空けておく。




wand05



ここまで3時間弱。
重い木材をテキパキと加工するなんて、やはりプロの技よね〜!


・・・と、
ここでランチタ〜イム



gohann
力仕事には やっぱりカレー


メニューは「七面鳥のカレー プルーンコンポートのカスタードソース」。
ごはんはウコン入り。黄色くきれいに染まったでしょ♥


一息入れて、
さあ午後を突っ走るぞ〜!!




ここのところ、
偶然にも「知られざる」シリーズが続いている。


今回は、、、

長編小説「変身」で有名な作家、

Franz Kafka フランツ・カフカ (1882年7月3日〜1924年6月3日)

知られざる功績について。


今回の講習中に、聞いた本当の話

あのフランツ・カフカが 当時 Sicherheitsinspektor 安全管理検査官 として、Dickenhobel 鉋掛け機械の刃の形状を、円柱型以外禁止したというのだ。



dickenhobel
機械の鉋部分(右)
左側から材木を入れると左の歯でしっかりとつかみ、
ローラーで鉋部分まで送り込む仕掛け



鉋を掛ける機械については、前回2回の記事を参照してほしい

円柱型鉋は、写真の右側。
昔は、この部分が4角柱などもあったらしい。

素晴らしいことに、現在でもこの円柱型のみが使われている。

すご〜い!!


こういうことは、実習教科書には載っていないからね。

耳が "ダンボ" になった瞬間であった。。。


+


カフカについて調べてみると(wikiより)


プラハのユダヤ人の家庭に生まれた、ドイツ語作家
晩年は結核にかかり、ナチスが猛威を振るう前に亡くなっている。


大学卒業後、プラハ地方裁判所にて1年間の司法研修を受け、イタリアの保険会社「アシクラツィオーニ・ジェネラリ(一般保険会社)」のプラハ支店に入社。


心配性だったカフカは、工場現場への視察の際に、万一の事を考えて軍用ヘルメットを着用していた。
それが基で、事故による保険金支払いを抑制するために、現在、工事現場などで使われている安全ヘルメットの発明に繋がった。

カフカは1908年から1922年まで、プラハ市内の「労働者傷害保険協会(正式には「ボヘミア王国労働者傷害保険協会プラハ局」)」に勤めていた。主な仕事は諸企業の傷害危険度の査定、分類と、また企業側から行なわれる、分類に対する異議申し立て訴訟の処理であり、しばしば数日がかりの出張や工場視察も行った。後には特に木材部門での事故防止にも従事しており、木工機械の事故防止のための詳細な図解入りのマニュアルが カフカの手によるものとして残っている。

カフカは有能な職員であり、特に文書作成能力を買われ、1913年に30人の部下を抱える書記官主任に、1920年には秘書官に、1922年の退職 直前には秘書官主任にまで出世した。1914年の大戦勃発の際には保険協会から「業務上不可欠」とされて兵役免除を申請されている。1918年にはオース トリア=ハンガリー帝国が崩壊しチェコ共和国の時代となったが、チェコ語もできたカフカは解雇を免れた。

 

 

 「変身」「審判」を残した功績も大きいのに、これだけマルチな活躍をしていたとは・・・


本業の功績よりも、
隠れた功績の方に興味を覚えるwarabiなのであった。。。




前回に続き、
Maschineschein 機械免許
の講習話。


初めに作業場の "おもしろ風景" からご紹介。


作業場にはいろいろなポスターが貼られていて、いろいろと笑わせてくれるのだが、こちらもドイツ的なジョーク入りのポスター。



arbeitschutz



Arbeits-schuh(e) 指先に鉄板などが入った作業靴
Arbeits-schutz 作業防御

この2つの単語で言葉遊びをしたというポスターである。

たまに?と思うドイツ的ジョークがある中、これは目立つし非常に分かりやすくていい方。


そして、ある機械についていたピクトグラム。



pikto



これも分かりすぎて、なんだかすごく怖いんですけど・・・


ピクトグラムは、お国によってものすごくセンスが違って、比べると面白いもののひとつ。日本のピクトは結構洗礼されていると思っているwarabi。

しかし。
このピクトは非常に明快でポイント高し





さてさて、作業の続き。



vorbohren
アップで撮ると 違うものに見える!?


Robinie ニセアカシア のある部分はこのような3角形に加工し、穴をあける。
つなぎ目の穴、壁掛け用の穴・・・と。


これがどのように使われるのかといえば、

掛け時計の上下飾り〜 ♪



uhr
日本とドイツの時間が分かる インターナショナル時計


写真は2つの時計が並んだインターナショナル時計だけれど(warabiとMくんの時計を合体させた)、みんなは2つの時計を組み込むようなデザイン。縦型なので、振り子時計も組み込めるのだ。


そして、もうひとつ。



rahmen
warabiは台と枠を合体させないでお持ち帰り



小さな壁掛け鏡台。

写真は作業場の引き出しに引っ掛けて取ったのでわかりにくいかしら?
下にあるものが小さな受け台、鏡を枠にいれ、枠と台を合体させて出来上がり。

時計はいろいろな角度がついた素材で、角を残した直線的処理。こちらは角に丸みを持たせた曲線的処理。この曲線の切り出し等は、すべて手作業である。


+


今回の講習で作ったものは 期待していたドラゴンでもオウムでもなかったけれど、とにかく無事に免許取得できてよかった、というのが本音。


Mくんの水疱瘡ウィルスの活躍も後半に入っておとなしくなってきているし、「しばらくは静かな生活が出来るかな?」と思っているwarabiなのであった。。。








↑このページのトップヘ